認定薬剤師の認定を目指す背景には、かかりつけ薬剤師の届けを出すため、という方も多いのではないでしょうか?
2025年には団塊世代が後期高齢者となるなど、さらなる高齢化に歯止めがかからない日本。
地域全体で高齢者を支える地域包括ケアに薬剤師も参画する足掛かりとして2016年に新設されたかかりつけ薬剤師指導料における業務は、今後も薬剤師に求められていきます。
こちらの記事では、そんなかかりつけ薬剤師について知識をおさらいしていきましょう。
かかりつけ薬剤師になるための条件
かかりつけ薬剤師になるためには、下記の条件を満たす必要があります。
- 3年以上の保険薬局勤務経験があること
- 同一保険薬局で週32時間以上勤務していること
- 勤務先の保険薬局に1年以上在籍していること
- 薬剤師認定制度認証機構が認証している研修認定薬剤師を取得していること
- 医療に関わる地域活動や取り組みに参加していること
かかりつけ薬剤師になるためには、少なくとも3年以上の保険薬局勤務があることと、勤務先の保険薬局に1年以上在籍していることが求められます。
また週32時間以上勤務をしていること、という条件もあります。
ただし、育児休暇や介護休暇で時短勤務をされている方には、他に32時間以上で届け出を行った保険薬剤師が在籍する店舗であれば、週24時間以上かつ週4日以上の勤務も認められています。
また、5.医療に関わる地域活動や取り組みへの参加について、厚生労働省の疑義解釈では下記のように記載がされています。
- 地域ケア会議など地域で多職種が連携し、定期的に継続して行われている医療・介護に関する会議への主体的・継続的な参加
- 地域の行政機関や医療・介護関係団体等(都道府県や郡市町村の医師会、歯科医師会及び薬剤師会並びに地域住民に対して研修会等サービスを提供しているその他の団体等)が主催する住民への研修会等への主体的・継続的な参加
- 行政機関や学校等の依頼に基づく医療に係る地域活動(薬と健康の週間、薬物乱用防止活動、注射針の回収など)への主体的・継続的な参画(ただし、薬局内でのポスター掲示や啓発資材の設置のみでは要件を満たしているとはいえない。)
- 行政機関や地域医師会、歯科医師会、薬剤師会の協力のもとで実施している休日夜間薬局としての対応、休日夜間診療所への派遣
- 委嘱を受けて行う学校薬剤師の業務等
かかりつけ薬剤師指導料の届け出を行う
かかりつけ薬剤師の条件を満たしたら、届け出を行いましょう。「かかりつけ薬剤師指導料及びかかりつけ薬剤師包括管理料の施設基準に係る届出書添付書類」(様式90)と「特掲診療料の施設基準に係る届出書」(別添2)を保険医療機関が所在する県を管轄する事務所に提出をします。
届け出が受理されると「受理通知書」が届きます。受理通知書が届いていなくとも、かかりつけ薬剤師指導料の算定要件を満たしていれば加算を算定することが可能です。
かかりつけ薬剤師指導料の算定
かかりつけ薬剤師指導料を算定するには、患者からの同意と、患者の服薬状況を他薬局で調剤を受けた分まで一元管理し、患者からの相談に応じる必要があります。
同意に当たっては、「かかりつけ薬剤師指導料について」(別紙様式2)を参考にした同意書を元に患者に下記内容を説明・ご理解を頂き、署名の上、同意をしてもらう必要があります。
- ア かかりつけ薬剤師の業務内容
- イ かかりつけ薬剤師を持つことの意義、役割等
- ウ かかりつけ薬剤師指導料の費用
- エ 当該指導料を算定しようとする薬剤師が、当該患者がかかりつけ薬剤師を必要とする
かかりつけ薬剤師指導料は同意を受けた後、次回の処方箋受付時以降に算定することが可能です。
またかかりつけ薬剤師指導料を算定する際には、担当患者に対して以下のような服薬指導等を行います。
- 患者の理解に応じた適切な服薬指導を行う
- 患者が服用中の薬剤等について、患者を含めた関係者が確認できるよう、意向を確認した上で、服薬指導等の内容を手帳等に記載する
- 担当患者の全ての医療機関の処方薬及び要指導医薬品、一般用医薬品、健康食品等について把握し、薬剤服用歴に記載をする。また医療機関の受診時や他保険薬局での調剤の際は、かかりつけ薬剤師がいることを申告するように説明する
- 患者からの相談に24時間応じる体制をとり、開局時間外の連絡先を伝えたり、勤務表を作成して患者に渡す。(かかりつけ薬剤師が開局時間外の相談等に応じることができない場合の対応方法についても伝える)
- 担当患者が他の保険薬局等で調剤を受けた場合は、その薬剤の情報も薬剤服用歴等に記載する
- 調剤後も患者のフォローアップを行い、患者の服薬状況を把握・指導し、その内容を保険医に情報提供をしたり、必要に応じて処方提案をする。服薬期間中に薬剤に関わる重要な情報を知った時には、患者に情報を提供し、その内容を薬剤服用歴の記録等に記載する
- 継続的な薬学的管理のために、ブラウンバッグ運動の意義等を説明し、必要に応じて薬剤の整理や服薬管理、患家を訪問するなどする
- 患者の同意が得られた場合は、必要に応じ、調剤及び服薬指導に必要な血液・生化学検査結果を参考として、薬学的管理及び指導を行う
まとめ
これからも引き続き薬剤師にはかかりつけ業務が求められていきます。かかりつけ薬剤師指導料を算定するためには、満たさなくてはいけない条件もあり、パートや時短勤務の方にはハードルが高く感じることもあるでしょう。ただ、条件は満たさなくてもこれらのかかりつけに当たる業務が国や支援を必要としている地域の方々に求められていることを理解し、継続的なスキルアップや患者フォローを欠かさず行うことが、重要なのではないかと思います。
※こちらの記事は2023年11月現在の情報を元に執筆しています。