認定薬剤師になるメリット
目次
1. 「持っていないと損になる」時代へ
認定薬剤師の資格を持つことで、専門性の高い知識・スキルを持っている薬剤師であるという客観的な証明になり、転職する際に有利に働いたり、資格手当がついて給料のアップが期待できるというメリットが出てきます。これからの時代、認定薬剤師がないとむしろ不利な局面に立たされることもあるでしょう。
2.かかりつけ薬剤師とはそもそも何?
かかりつけ薬剤師とは、かかりつけ医の薬剤師版と言えば分りやすいでしょう。患者様の医薬品管理を一手に担当することで、服薬歴などを把握しながら適切な薬学的指導が可能になります。
3.かかりつけ薬剤師を求める薬局が増加する
かかりつけ薬剤師の募集を出す調剤薬局が今後増加するとみられています。かかりつけ業務を行わないと、調剤報酬が大幅に減少し、経営が厳しくなる恐れがあるためです。
4.一定の経験がないとかかりつけ薬剤師にはなれない
薬局ではかかりつけ業務のできる薬剤師を求める傾向がどんどん強まるでしょう。かかりつけ薬剤師は誰もがなれるものではなく、認定薬剤師の資格を持っているなど一定の条件をクリアする必要があります。
「持っていれば得」という時代は終わる?「持っていないと損」になる
認定薬剤師は、一定の研修プログラムを履修しないと取得できない資格で、さらに1度取得しても3年ごとに更新する必要があるため、常に勉強を続ける必要がある資格です。そのため、研修認定薬剤師の資格を取得していると専門性の高い知識・スキルを持っている薬剤師であるという客観的な証明になり、転職する際に有利に働いたり、資格手当がついて給料のアップが期待できるというメリットがあります。

また、認定薬剤師はかかりつけ薬剤師の算定条件の一つとなっており、今後かかりつけ薬剤師がさらに重要視されるようになると、認定薬剤師の需要はますますアップします。
今までは、認定薬剤師があった方がお得程度のものでしたが、今後かかりつけ薬剤師の需要が増えることで、認定薬剤師の資格を持っていないと不利になってしまう可能性があります。
かかりつけ薬剤師とはそもそも何?
かかりつけ薬剤師とは、平成28年に実施された調剤報酬の改定のなかで新しく制定された業務のことです。「かかりつけ医」という言葉を聞いたことのある人も多いでしょうが、その薬剤師バージョンと言えば分かりやすいでしょう。
患者が薬剤師を指名し、かかりつけ薬剤師として選任の薬剤師が常に自分の薬の調剤を担当するシステムです。自分の病気・服薬歴などを理解している薬剤師が担当することで、安心して薬の処方をしてもらえるメリットがあります。
さらに、常に同じ薬剤師が担当することで、新しい薬を処方した際の体調の変化なども継続観察できます。もし何らかの異変に気付いたのであれば、主治医に連絡をして必要な対策を講じてもらうことも可能です。
また場合によっては、次に薬局を訪れた時に、以前に処方した薬がまだ残っているケースもあるでしょう。一括で薬の管理をしているかかりつけ薬剤師であれば、処方医への処方量を提案調整する、薬の整理を指導するといったこともできます。
かかりつけ薬剤師になると、服薬状況を把握しているので健康面で様々な相談を受けることができます。薬局によっては夜間や休日でも対応している所もあるので、患者様の「相談したいけれど忙しくて…」といった悩みに対応することも可能になります。かかりつけ薬剤師が新設されたことで、薬剤師はより深く地域包括ケアシステムに関われるようになり、医療の世界での存在感も増すでしょう。
かかりつけ薬剤師を求める薬局が増加する
平成30年調剤報酬の改定では、かかりつけ薬剤師の指導料がアップしました。かかりつけ薬剤師指導料が1回あたり70点から74点、かかりつけ薬剤師包括指導料270点は280点となっています。このかかりつけ薬剤師業務ができるかどうかは、薬局の経営上大きな問題になります。
さらに、平成28年改定に続き、調剤基本料の点数が大幅に改正されました。調剤基本料とは、処方箋の受付1回ごとに算定する基本的な点数で、かかりつけ業務をしていない薬局は、調剤基本料が50%減算されます。つまり、かかりつけ薬局としての基本的な機能を持っていないと、薬局の収益がダウンして、経営面で大きなダメージになる可能性があります。
これからの調剤薬局の求人は、かかりつけ薬剤師業務のできる薬剤師の確保が大事になるでしょう。かかりつけ薬剤師になるためには一定の条件があり、研修認定薬剤師資格の有無も含まれています。
一定の経験がないとかかりつけ薬剤師にはなれない
かかりつけ薬剤師になるためには、一定の条件を満たす必要があります。まずは薬剤師としての十分な経験を持っていることが条件です。薬剤師として薬局における実務経験が3年以上あること、同じ保険薬局で週32時間以上勤務していることが条件です。さらに、当該の保険薬局に1年以上在籍している薬剤師でないといけません。
また薬剤師認定制度認証機構が認証している研修認定制度に基づく資格を取得していることも条件となります。認定薬剤師の資格を持っている人は、この条件を満たすことになります。その他にも医療に関係した地域活動の取り組みに参画していることも条件として含まれます。
このように薬局にとってかかりつけ業務を行い経営を続けていくためには、経験豊富でかかりつけ薬剤師業務を行うことができる薬剤師がどうしても必要になります。よって今後転職活動をするにあたって、認定薬剤師の資格を持っていれば、有力な武器となる可能性が極めて高いのです。

逆に言うと認定薬剤師を持っていないと、転職活動で不利になってくることも考えられます。すでに応募先の薬局に認定薬剤師がいれば話は別ですが、かかりつけ業務を担う人材を募集しているのであれば、認定薬剤師の資格を持っていないと採用されない場合も出てくるでしょう。
また認定薬剤師の資格が必須ではない求人でも、他の候補者で資格を持っている人がいれば、その方が採用される可能性が高くなります。専門知識・スキルを持っていてかかりつけ業務もできる薬剤師の方が、即戦力として幅広くの活躍が期待できると採用担当者側が考えるためです。
薬剤師としてスキルアップ・キャリアアップしたい、より良い条件の職場があれば転職したいと思っている薬剤師の方は、今後のことを考えて認定薬剤師の資格取得を目指すのはいかがでしょうか。薬剤師としての視野を広げることができるでしょう。